特集 学校保健—心の健康づくりを中心に
保健室の役割と対応
江口 篤寿
1
Atsuhisa EGUCHI
1
1筑波大学体育科学系健康学類
pp.747-750
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207142
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■はじめに
はっきりした理由や訴えがないのに,保健室を頻繁に訪れる児童生徒は,どこの学校でも稀ではなかった.しかし,近年,このような児童生徒が多くなったようで,その対応をめぐって,保健室の存在が学校関係者の間で話題になってきたのは,割合に最近のことのようである.また,校内暴力が大きな問題になり,暴力をふるう生徒のたまり場が保健室ということで,保健室を閉鎖した学校があったことも,保健室の役割を考えなおす機会となったようである.
このような次第で,単に学校保健関係者だけでなく,広く教育関係者の間でも,保健室のあり方について関心がもたれるようになったことは,学校保健に深く関与している者として,非常に喜ばしいことと思われる.しかし,保健室について論じるにあたって,一つには学校内にある物理的空間としての保健室について論じる場合と,保健室の主人のような存在である養護教諭のあり方について考える場合とがある.そこで,本論ではこの両方にわたって私見を述べる.
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