特集 障害者歯科
障害者歯科の国際動向
金子 芳洋
1
Yoshihiro KANEKO
1
1昭和大学歯学部口腔衛生学教室
pp.617-622
発行日 1985年9月15日
Published Date 1985/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207113
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■はじめに
世界各国における歯科医療がどのような制度のもとに,どのように国民に提供されているかは,その国の国土の広さと人口,歴史,教育,文化,政治,経済,社会保障や福祉のあり方,あるいはもっと直接的には歯科医療関係者の数など,多くの因子によって左右され,それぞれに特徴を持っている.例えば歯科医師の国民人口比をみると,発展途上国と先進諸国,福祉の進んだ国々では大きな差がみられる.その概略をみると,アフリカ西海岸の新興国(1961年に独立)であるカメルーン連邦共和国では,約1/800,0001)と極端に歯科医師の数が少なく,またタイ,フィリピンなどでは約1/50,000,スペイン1/9,000,イギリス(イングランド・ウェールズ)1/3,500,西ドイツ,フランス,アメリカ,日本などでは約1/2,000,北欧3国(ノルウェー,スウェーデン,デンマーク)では最も比率が高く約1/1,000を示している2).
特徴のある歯科保健制度(Dental care delivery system)としてはニュージーランドのSchool Dental ServiceにおけるSchool Dental Nursesの役割,イギリスにおけるNational Health Service内での歯科医療,北欧における歯科保健サービス機構(PDS:Public Dental Service)などが,比較的知られているものであろう3〜5).
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