特集 死と公衆衛生
聖隷ホスピスのケアの実際
原 義雄
1
Yoshio HARA
1
1聖隷ホスピス
pp.518-521
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207091
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■聖隷ホスピスの歩み
わたしどもは,昭和56年4月からホスピス・ケアを開始したが,今日までの歩みを,三つの段階にわけることができる.第1期は,56年4月から11月までの間で,院内に分散している末期癌患者を診て回っていた.しかし,この分散形では,1)チーム・アプローチが難しいこと,2)ケアの濃度が他と不平等となることなど,様々な不便があった.第2期は,昭和56年11月からで,結核病棟の半分を空けてもらい,改造して,30ベッドの自分たちの病棟を持つことが出来た.第3期は57年11月からで,その病棟をホスピス病棟と呼称を改め,58年5月には新病棟が出来上がり,60年3月31日までに,計224名の患者をケアして来た.
現在のホスピス病棟は,平屋建で,個室22,2人部屋2,4人部屋1で,計30ベッドで,どの部屋からも庭が見え,歩くか,車椅子に乗れる人なら,すぐ庭に出られる構造になっている.この新病棟は,全国からの善意の寄付金によって建ったので,個室料の差額は取らないことにしている.そして個室は8畳位の広さで,家族が寝泊り出来るようになっている.また,家族が患者の好みにあったものを自由に作ってあげられるファミリー・キチンが設けられ,大変喜ばれてよく利用されている.また家族が休憩したり,自由に宿泊できる男子用,女子用1室ずつ,6畳の和室があり,布団,敷布などが備えつけられている.これを家族室と呼んでいる.
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