調査報告
19世紀以降近江農村の母性健康障害—過去帳成人女子死因の考察
大柴 弘子
1
Hiroko OOSHIBA
1
1信州大学医療技術短期大学
pp.489-495
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207084
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●はじめに
滋賀県野州郡野洲町南桜の19世紀以降,昭和20年代までの月別出生数は,農繁期の旧暦6月・現7月と,農閑期の旧暦1月・現1〜3月に集中していた1).旧暦9月,現10月の農閑期受胎より生じた農繁期出生ピークは,母性に著しい健康障害をもたらすと予想されたので,過去帳から成人女子死亡数を月別に算出し,その背景となる生活実態を社会調査により把握した.
その結果,出生ピークと成人女子死亡のピークがほぼ一致し,死因となる母性健康障害が当時の食生活,衛生状態,とくに農業労働に起因していることが判明したので,その結果をここに報告する.なお.この過程で成人・子供の月別死亡の年代別推移など.今後の研究の参考となる結果がみられたので付帯して報告する.
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