特集 小さなコミュニティにおける公衆衛生活動—方法論を中心として
過去帳による山梨県住民の死因に関する疫学的観察
中澤 忠雄
1
,
中澤 良英
1
1(山梨県)加納岩総合病院
pp.109-115
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205778
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■研究経過
一昨春筆者らは,26年前に死去した伯父・佐藤佐吉が,生前三十数年かけて蒐集,整理した『郷土史史料』15巻の中に,上万力村(現在の山梨市万力)の3寺院の過去帳の写しを見た.伯父はこれらを郷土史や家系の解明に用い,ところどころに「この年子供の死多し」と註記してあるのを見,医師としてその死因解明の方法はないものかと考えた(写真).死亡年齢によって大人と10歳未満の子供("幼"と称す)との長・幼2段階の死亡曲線がはっきり違うのに気付いた.
その後,立川氏著書『日本人の病歴』を読んで知った,須田氏の「飛騨○寺の過去帳の研究」の原著をいただき,その病名の明らかな「82年間の資料」を筆者らなりの上記の方法で整理した.その結果,痘瘡,傷寒,麻疹,痢症などがそれぞれ独自の死亡曲線を示していることを知った1).
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