特集 肥満/標準体重
半飢餓療法と生体への影響
塚原 暁
1
,
大野 誠
1
,
池田 義雄
1
Satoru TSUKAHARA
1
,
Makoto OONO
1
,
Yoshio IKEDA
1
1東京慈恵会医科大学第3内科
pp.454-460
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207077
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■はじめに
近年,社会の近代化に伴い肥満が急速に増加してきており,わが国も先進諸国の例にもれず,肥満の増加をみていることは周知の事実である.幸いわが国の肥満は欧米のそれと比較して,頻度,程度ともに軽いといわれる.しかしながら,肥満には糖尿病,動脈硬化症,高血圧ほか多彩な成人病を合併することが多く,それゆえに"肥満は長寿の敵"とみなされている.したがって,肥満者に対して早期に減量をすすめることは,予防医学的見地からも意義深いといえる.
肥満とは,摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ったため,余剰のエネルギーが中性脂肪として脂肪組織に蓄積された状態といえる.したがって肥満治療の大原則は,摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスを負に保つことである.一般に肥満者の減量には1,000〜1,500kcalの減食療法がすすめられている.しかし,こうした減食療法では減量がはかどらないことも日常診療上よく経験されているところである.
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