特集 東洋医学と公衆衛生
東洋医学の現況と展望
安非 広迪
1
Hiromichi YASUI
1
1北里研究所附属東洋医学総合研究所
pp.152-156
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207007
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■はじめに
東洋医学という用語は比較的近年のもので,日本では主として明治以前まで長く行われてきた中国系伝統医学を,この名称で呼ぶことが多い.もちろん,西洋医学の対立概念として使用されるようになった言葉で,その意味でこれも「蘭方」に対立する用語として用いられてきた「漢方」と似た経緯をとっている.
現在のところ,世界にはなおその体系を保ちながら存続している伝統医学の系譜が3種存在している.アラビア文化圏におけるユナニ,インド文化圏におけるアユルヴェーダ,そして中国文化圏における漢方(中国系伝統医学)である.このうち,中国系伝統医学は中国文化圏に広く普及しており,中国では中医学,韓国では漢医学,日本では漢方医学と呼ばれ,いずれも一般大衆のレベルにまで深く浸透している.
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