特集 東洋医学と公衆衛生
小児保健と漢方
大国 真彦
1
Masahiko OOKUNI
1
1日本大学医学部小児科学教室
pp.157-159
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207008
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■はじめに
最近は小児科領域においても,かなりよく漢方製剤が用いられるようになったきた.これは一つは,西洋医学が疾病の原因を追究してそれを治療しようとするゆき方をとるのに対し,東洋医学は体内のバランスの乱れから症状が出るので,その乱れを矯正することにより症状がとれるとする考え方がかなり広く理解されるようになってきたためであろう.またわが国では,漢方薬のエキス顆粒あるいは錠剤が市販されるようになり,湯剤よりも簡単で小児にも服用しやすくなったこともその理由の一つであろう.
一方小児においても最近は,急性伝染病がかなり減少してきているが,他方,不定愁訴といわれる症状が多くみられるようになってきており(図),いわゆる西洋薬では十分に対応しきれない場面もふえてきている.このような場合に漢方薬が用いられるようになってきている.
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