講座 臨床から公衆衛生へ—感染症シリーズ・5
感染症監視システム
野崎 貞彦
1
1厚生省感染症対策課
pp.134-137
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207002
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■感染症サーベイランス事業
1.経緯
感染症の発生状況は,環境衛生,医療水準等社会的要因に大きく左右されるため,それに応じ,時宜を得た対策を講じる必要がある.わが国では,近年,生活水準の向上,医療,技術の進歩,防疫対策の充実等により,法定・指定伝染病及び届出伝染病の患者数,死亡数はともに著しく減少したが,一方では生活様式の変容や地域間の交流の活発化に伴い,法に列挙された狭義の伝染病以外の,感染症に対する問題意識が高まってきた.これらの感染症の多くはウイルス性疾患であり,また小児を中心に流行するものが多く,地域的及び全国的な発生状況を迅速に把握する事が,地域保健医療の立場から強く要望されてきた.
こうした背景のもと,地域ごとの感染症監視体制が,医療機関の協力のもとに過半の都道府県・指定都市で実施されるようになってきたが,それらは,対象疾病,年齢区分,調査期間の単位(週,旬,月)等,実施方法が一定していなかったため,せっかくの情報を広域的に活用するのに困難が生じてきた.
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