特集 アメニティ・保健・福祉
アメニティと子どもの発育
小林 登
1
Noboru KOBAYASHI
1
1東京大学医学部小児科教室
pp.504-510
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206893
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■はじめに
「アメニティ」(amenity・amenite)と発育について論ぜよという編集子の求めであるが,筆者にとってアメニティという理念は初めてである,しかしながら,編集子の説明をきいて,考える点あって,本論文の執筆を引きうける事にした.すなわち,アメニティとは生態システムの質を評価するパラメーターであり,しかも評価する立場が,単なる分析論ではなく,むしろ包括的あるいは統合的な全体論であると考えられたからである.すなわち,文化とか心とか,人間関係という,従来の理念では評価しにくいもの全てを統合したパラメーターと思うのである.
人間に関係する諸現象はヤヌス的(両面神的)であって,要素還元論的な面と全体統合論的な面とが共存する.要素還元論を否定することなく,それをのり越える全体統合論が,21世紀の医学・医療に求められていると思われるのである.
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