特別寄稿
有病老人の中間施設—施設ケアと在宅ケアの結節点として
前田 信雄
1
Nobuo MAEDA
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.596-602
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206756
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■はじめに—思い思いに描く中間施設論—
昭和58年度から新たに設けられた「老人病院」を契機にして,病院からの老人退院勧奨と,退院できない患者の問題がクローズアップされてきた.東京都信愛病院には9年も病院に入院していて,社会的理由から退院できない老人のいることが,NHKテレビで放映された(昭和58年7月4日).精神病院ならいざ知らず,病院において9年の入院ということは,よその国では考えられないし,今までの日本の一般病院では極めて稀な長期入院の例である.それが昨今ふえ続けている.
同時に,自宅で寝たきり老人や痴呆老人はとても見きれないの声も,家族の側からあがることが多くなってきた.病院からは早く退院せよ,在宅では不安で看護できない.といっても,近くにも遠くにも特別養護老人ホームはない.となれば,一体このふえ続ける老人の慢性患者や後遺症患者はどこへ行けばよいのであろうか.寝たきり老人あるいは寝たきりに近い病気で自立できない老人患者は,どこに救いの手を求めていけばよいであろうか.
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