特集 健康教育時代
地域保健と健康教育
山本 幹夫
1
Mikio YAMAMOTO
1
1帝京大学医学部公衆衛生学教室
pp.15-19
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206635
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地域保健とは地域社会に居住する人々の生命をまもり,健康で幸福な生活を確保するための活動1)で,そのためには身体的,精神的のみならず人々をとりまく生活する諸環境をも整えてゆく活動がふくまれる.地域社会は産業現場や学校などと異なり,元来人々の幸福を目的として形成されており,人々の健康を第一義として考えうる場である.地域医療はその中の医療活動と解することが無理のない考え方といえるが,日本医師会などでは保健活動をふくめて考えようとしている.
1978年にソ連アルマ・アタでWHOとUNICEFとの共催で実施されたプライマリー・ヘルス・ケア(以後PHCと書く)の国際会議で採択されたPHC宣言は,今後の世界の地域保健の方向を定めるものとしてそれぞれの国においてすでに実施に移されつつあり,わが国においても「国民健康づくり」や市町村の保健婦活動など将来の地域保健の方向について大きな影響を与えることは間違いないことである.すでに述べた1)ように,この宣言の主旨をいかにわが国の実情に即して展開していくかについて充分な検討が必要である.また後述のようにこの宣言には健康教育に関するきわめて重要な諸事項も含まれている.
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