特集 肥満
肥満と成人病
南部 征喜
1
,
山本 章
2
Seiki NANBU
1
,
Akira YAMAMOTO
2
1国立循環器病センター内科動脈硬化・代謝部門
2国立循環器病センター研究所病因部
pp.543-548
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206568
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最近の日本人の生活環境の変化は疾病構造を著しく変え,しかも,その裏には体重の増加という極めて特徴的な現象が存在する.世界7カ国共同疫学研究の一環として20数年来行われている農村(福岡県田主丸町)の調査結果(1958年と'77年との比較調査)をみると,国民栄養調査の結果と同様に「体格の向上」が確認されているが,身長別にみた場合にみられる体重の増加は,ΣSF(皮厚)あるいはbody-mass indexを示標に検討された結果,肥満度の増加であることが明確に示されている1).このことは,「体格の向上」が実は皮下脂肪の増加を伴っていたことを示すもので,動脈硬化性疾患を考える場合に極めて憂慮すべき問題なのである.
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