特集 肥満
肥満の成因論
下村 洋之助
1
,
小林 功
1
Yohnosuke SHIMOMURA
1
,
Isao KOBAYASHI
1
1群馬大学医学部内分泌内科
pp.513-519
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
食糧事情の改善とともに,最近肥満人口が増加し,欧米各地を中心に,肥満は深刻な社会問題となっている.しかしながらヒト肥満の成因に関し,症候性肥満は,かなり詳細な研究がなされているが,肥満の95%以上を占めるといわれている単純性肥満の成因は,現在暗中模索の状態である.一方種々の実験モデルを用いた肥満の成因学は,最近著しい進歩をみせ,かなり解明されてきている.
実験肥満のモデルは,大きく3つに分けられる.第1は,メンデルの劣性遺伝にもとづくob/obマウスおよびZuckerラット,第2は,電気凝固法,ナイフ切断法,Gold thioglucose投与等により作成されている視床下部性肥満,第3に,高カロリー食事摂取による食事性肥満である.最近ヒト肥満においても,赤血球〔Na++K+〕ATP-ase活性値等の変化等が注目されている1,2)ことより,以下私達が研究している遺伝性肥満を中心に,最初ob/obマウスの肝〔Na++K+〕ATP-aseに焦点をあて,順次実験肥満およびヒト肥満の成因について,述べてみたいと思う.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.