日本列島
人工増雨(?)作戦終わる—沖縄
伊波 茂雄
1
1沖縄県環境保健部
pp.426
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206540
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沖縄地方は歴史上最長とならんばかりの長期渇水が続き,既に制限給水が300日近くに及んでいる.水道普及率は97パーセントをこえているものの,現在は48時間のうち20時間しか給水されておらず,新聞では毎日,重要な水道水源であるダムの貯水率が報道されている状況である.このような状況を打開するため,県では副知事を本部長とする沖縄県人工降雨実施本部を設置し,気象台,航空及び大学など関係機関から専門家の参加協力を得て人工降雨を計画し,内外の文献を集め,56年10月から57年3月までに11回の人工降雨を試みたが,このほどその結果をまとめて発表した.
人工降雨は航空機により行われ,雲の状況,気温,風向,湿度など気象条件が降雨に有利な日と時刻を見はからい,雲に対し水を撒く方式10回,ドライアイスをまく方式1回を実施した.その結果,はっきり降雨あるいは増雨効果があったのはドライアイス方式1回と撒水方式1回の合計2回であったとしている.これは,降雨に適する気象条件の把握方法が充分確立されていないため実施時間のタイミングがうまく行かなかったことや,過去の人工降雨の行われた世界及び国内の各地方と沖縄地方とのミクロクライメート条件の相異などがあるため,実施例のデータがあまり参考にならなかったためである.
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