講座 公衆衛生学の最近の進歩・15
成人保健—健康づくりのための運動の処方を中心に
渡辺 孟
1
Tsutomu WATANABE
1
1愛媛大学医学部衛生学教室
pp.183-192
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206492
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急激な高齢化社会の到来に直面するわが国においては,成・老人の保健・医療・福祉にかかわる対策の根本的な見直しと確立が叫ばれている.老人を中心とする医療費の膨張や寝たきり老人の急増などがわが国今後の社会・経済に与えるであろうインパクトを考え,一方めまぐるしく進むエレクトロニクス・C.C(コンピュータ&コミュニケーション)が産業や生活に及ぼす変革を予測するとき,わが国成・老人の健康・労働・生活の将来には錯綜した要因によるきびしい変革と重圧が予感される.
かかるとき,上記諸問題への対策の根源的な方向として,成・老人における精神的・身体的あるいは社会的な力―それは適応能ともいえようが―,また行動的・防衛的な体力の保持・増進こそが,いかなる事態をも乗り越えて行く道標1)といえるのではないだろうか.
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