特集 老人保健と老人福祉
老人の社会参加
岡村 重夫
1
Shigeo OKAMURA
1
1大阪市立大学
pp.683-687
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206380
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■社会参加の2つの意味
1.老人福祉法は,老人福祉の基本的理念として,老人の生活の安定,心身の健康,そして社会的活動への参与の3点をあげている.そして老人の社会的活動としてその知識と経験を社会に役だつようにすること,また希望と能力とに応じて適当な仕事に従事したり,その他の社会的活動に参加する機会を与えられるべきであるという.そして昭和51年5月の社会局通知『在宅老人福祉対策事業の実施及び推進について』において,後述するような各種の社会的活動の機会を提供するいわゆる『生きがい対策事業』を定めている.この生きがい対策の内容は,老人の就労,老人クラブ活動,老人の知識や経験を生かした生産的または創造的活動に大別できるが,それが老人の社会的活動であり,老人の生きがい対策であるというわけである.
つまりここでは老人が一般社会から孤立しないように生産的労働に参加したり,教養を身につけて時代遅れにならないようにしたり,老人の経験や能力を地域社会に役だてることが「社会参加」とされている,そしてこの社会参加によって老人に生きがいをもたせるのが目的である.つまり,今日の産業社会は,生産能力の高い若い労働者本位の社会であり,老人はそこから引退させられたものである.
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