論考
日本公衆衛生学会保健所問題委員会「『地域保健のあり方』についての中間報告」の監視業務についての考察—80年代の保健所の進むべき道
長島 芳昭
1
Yoshiaki NAGASHIMA
1
1東京都板橋区板橋保健所衛生課
pp.582-585
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206140
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Ⅰ.「中間報告」1)を読むにあたって
現在置かれている保健所の業務は大きく二つに分かれており,二つの業務のあり方および接点について数々の議論がなされている.「対人保健」,「対物衛生」とそれぞれ呼ばれているが,今後のあり方について分離する傾向の報告が数多くみられた.そこで,両者の総合性をめざすものとして「中間報告」を考えてみたい.
現在施行されている保健所法では,第一条〔設置〕に「保健所は,地方における公衆衛生の向上及び増進を図るため……」とある.第二条で事業内容を列記している.その第1として,両者に共通な衛生思想の普及および向上に関する項目を挙げている.これは公衆衛生の重要な目標であり,その結果は最終的に二番目に挙げている人口動態統計に現われてくる.第三号以下では「対物衛生」,「対人保健」を列挙している.対物衛生と対人保健とは目標と結果が共通しており,両者の相乗作用によって公衆衛生の向上および増進が高められるだろう.
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