特集 小さなコミュニティにおける公衆衛生活動—方法論を中心として
保健所管内における各地区ごとの保健婦活動をいかに評価するか
簑輪 眞澄
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.94-98
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205774
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■はじめに
強い行政権限を持ち,集団防衛のためには各種の禁止や隔離,時には交通遮断さえできる伝染病予防に比べ,今日のわが国の公衆衛生にとって最も大きな課題である成人病予防や老人保健のために,一般の住民に何かを強制することはできない.疾病を予防するためのより健康的な生活を,いろいろの方法で指導することができるだけである.したがって,直接住民に接して保健指導を行っている公衆衛生従事者にとって,どのような内容をどのような方法で指導するのかは,重大な関心事であるはずである.
また,指導内容や指導方法は,基本的には全国に共通なものが多いと思われるが,その具体的な展開には,その土地の風土と人情に応じた工夫が必要であろう.昭和52年度から始まった1歳6カ月児健康診査や,昭和53年度から始まった国民の健康づくり地方推進事業や保健センターの設置が市町村を主体として進められているのも,このような主旨に基づくものと思われる.したがって,これからの公衆衛生活動,特に対人保健サービスのためには,都道府県単位あるいは保健所単位というよりも,もっと小さな市町村単位や,場合によってはさらに小さな旧町村単位で,きめ細かな計画が立てられなければならないであろう
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