特集 小さなコミュニティにおける公衆衛生活動—方法論を中心として
統計学の切れ味
三宅 浩次
1
1札幌医科大学公衆衛生学
pp.88-93
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205773
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■はじめに
ある小地域(ある特定集団)に,ある疾患(ある特性)が多いようだ.このような直観的な観察の結果を,実際の数値を利用してまとまった形にすることは,公衆衛生活動の最初の段階として,極めて重要なことはいうまでもない.しかし,現実にこの手続きが巧みに行われているか,ということになると,話は別である.
公衆衛生活動の担当者は,たいてい研修や学校での授業を通して,この手続き(ときには統計学という科目として)を学習してきたはずである.ところが,その学習の結果が血や肉にならないまま,現場の錯雑とした情報の前に立往生していることが多いのではなかろうか.この点について,教育の問題を論ずることもできようが,ここではさておいて,統計学という硬い論理的構造を基盤とした科学を,いかに現実の柔らかい公衆衛生活動の領域で生かし得るかということについて,統計学の考え方を中心に考察してみよう.
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