特集 公衆衛生への提言
地域活動
公私協働の理念に基づく公衆衛生を
阿部 志郎
1
1横須賀市キリスト教善隣館
pp.560-561
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205249
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ある町での体験
ある町でのできごとである.老人世帯を隣人が訪れた.もともとねたっきりのおじいさんの世話をしているおばあさんが,具合が悪いとみえ,床をはいずるようにして食事をつくっているのをみて,すぐに民生委員に知らせた.民生委員は,それを確かめ,保健所に電話して老人世帯の様子を話し,保健婦の訪問を頼んだ.その日のうちに,老人世帯を訪ねた地区担当の保健婦は,おばあさんに「かかりつけの医者がすぐ来てくれるから心配はいらない」と,帰されてしまった.おばあさんには,お上の世話になりたくない,本当のことを明かすと病院にかつぎこまれるかもしれないという不安,寝たっきりのおじいさんの心配とか,いろいろあったのであろうが,保健所という役所から来る人に対して,"構える"気持ちもあったのではないかと思われる.
保健婦が,民生委員の家に寄りその話をしたら,「それはおかしい,医者とは喧嘩して半年以上来てくれない」と説明された.翌日,民生委員のところに,保健婦と老人の世話をしているホームヘルパーとが集まって,打ち合わせをした.
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