特集 公衆衛生への提言
教育・研究
"異端"の公衆衛生学を
木根渕 英雄
1
1福島医大公衆衛生
pp.544-545
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205242
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環境汚染への対応こそが第一主題
1971年6月,イタイイタイ病第一審で原告が勝訴,つづいて同年9月,新潟「水俣病」訴訟も被害者側の勝訴に終わった.西アフリカのガーナで,日本から伝わる月おくれのニュースを見ながら,公害問題がようやく曲がり角を過ぎたことを感じていた.「企業は被害者に対する補償と公害防除の設備投資とのバランスを考え始める.産業廃棄物による環境汚染は制約を受けるだろう.しかし農薬は残る。農業労働人口の激減をカバーするための,除草剤・殺虫剤の大量投入方式は,既にわが国の農業構造に組み込まれてしまっている」.1年ののち,間近になった帰国予定をひかえて,同僚に書き送った.「現在の日本において,公衆衛生の主題は環境汚染への対応.農村医学という背景の中でそのことを考えよう」と.
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