特集 医学教育の中のコミュニティ・ヘルス
看護の立場からみた医学教育におけるコミュニティ・ヘルスの教育
橋本 秀子
1
1国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.261-264
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205170
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はじめに
本主題に関して私見を展開するに当たって2,3の問題について仮定しておく必要がある.すなわち,
1)コミュニティ・ヘルスの定義
2)医学教育におけるコミュニティ・ヘルスの位置づけ
3)医学教育と看護教育の接点
などである.その理由は,今さら論ずるまでもないが,医学教育の改革への要求が急速に高まるにつれて,各種の方向性が打ち出されており,医学教育機関が個別の努力を計っている現状から,少なくとも上記の3点について,あらかじめ基準をつくっておくことがのぞましいと,考えるからである.
そこでまず,1)および2)について考えてみよう.今日でもコミュニティ・ヘルス(以下コ・ヘと略記)とは何かについて,必ずしもコンセンサスは得られていないように考える.勝沼によれば,包括医療または総合保健を前提とした概念であり,地域性にもとづく活動の展開方式であるとされ,医療も保健も同義語であるとされる.しかし,衛生行政関係者の間で取り交わされている認識では,医療は必ずしも保健と同義語ではなく,むしろ地域社会を前提とした保健活動の展開方式であると考えられている.
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