特集 保健・福祉の新たな関係—概念を中心に
保健と福祉の連携—コミュニティ・ヘルスの立場から
山根 洋右
1
1島根医科大学環境保健医学
pp.91-98
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900640
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公衆衛生も共生の思想を
「私がいまもっとも誇らしく思うことは,障害を持つ自分の息子に,docentな,つまり人間らしく寛容でユーモラスでもあり信頼にたる,そのような人格を認めることです。また,この障害児と共生することで,かれのそのような性格に,家族みなが影響を受けてもいることです。
個人的な規模を越えて,私は息子との関わりを介して,さまざまな障害者たち,その家族,またかれらのリハビリテーションに努力した人々を知っています。障害者もその家族も,リハビリテーションにあたる人も,みなそれぞれ固有の苦しみを担っています。「受容期」にいたった障害者にも,その苦しみのしるしはきざまれています。家族にも,またリハビリテーションを助けて働いた人にも,それはあるはずです。しかもかれらみなに,共通するさらにあきらかなしるしとして,かれらがdocentな人たちだ,と私は考えてきました。……大きい苦しみを乗りこえ,苦しむ家族と共生し,そのリハビリテーションを支えた,そのような人びとのdocentな新しい人間像。そこに今後の日本と世界をつなぐ,もっとも望ましい人間のモデルがあるように思います」(文学からリハビリテーションを考える。第16回リハビリテーション世界会議,大江健三郎)
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