特集 医療と福祉
日常生活動作の自立のための援助のあり方—技術的な面から
奈良 勲
1
1三愛会伊藤病院リハビリテーション部
pp.443-451
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205035
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はじめに
人間の身体的機能低下はその人間の行動範囲を狭め,自立性を脅かす.これは単にその人間の身体的自立性のみにとどまることなく,人間としての総体的自立性にまで及ぶのが普通である.一人の人間が自立性を失なうということは,その一人の人間のみならず,その人間と何らかの形で関与している他の人間にとっても一つの大きな問題となってくる.この問題が個人単位であれ,家族単位であれ,これらの問題が集積してくると,当然社会問題にまで拡大されてくることになる.
老人,身体障害者,難病の在宅患者にまつわる諸問題を考えるとき,医療と福祉の結びつきがいかに重要であるかということを強く感じないわけにはいかない.この小論では理学療法士の立場から,何らかの要因により日常生活動作(以下ADLと略す)において自立性の低下を来たした人間をどの様に援助していくかということについて基本的なことがらを述べてみたい.
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