Japanese
English
研究
タバコ煙中の有機塩素農薬と人体への移行
Retention of Pesticide Residues from Tobacco Leaves to Smoke in Human Lungs
滝沢 行雄
1
,
貴船 育英
1
,
皆川 興栄
1
,
篠川 至
2
Yukio Takizawa
1
,
Ikuei Kifune
1
,
Koei Minagawa
1
,
Itaru Sasagawa
2
1秋田大学医学部公衆衛生学教室
2新潟県衛生研究所
1Department of Public Health, Akita University School of Medi-cine
2Niigata Prefectual Institute of Public Health
pp.175-181
発行日 1974年3月15日
Published Date 1974/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204820
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古来,タバコは,一種の陶酔感を味わう喫煙として薬用や強壮剤に用いられていたが,これを医学的にとりあげてみると,すこぶる困難な問題が内臓されていて,いまだ解明されない事象がすくなくない.タバコの中の麻酔や興奮を誘起する成分はニコチンを主体とするアルカロイドである.その他有害成分としては一酸化炭素,シアン化水素,硫化水素,ヒ素などがあげられるが,ごく微量なので問題にならない.
ところが,近年タバコの健康に及ぼす影響の研究が進歩し,とくに肺癌との関連が注目される1)ほか,有機塩素農薬や水銀,カドミウムなどの重金属類の混在も指摘されるようになった.しかも,一般に欧州人がタバコを「ふかす」のに対して,日本人ではこれを深く「吸う」傾向があり2),疫学的に重大な意義をもっている.しかし,この分野に関する研究は,依然として具象性に乏しく,かつ,実態調査的であって総合的知見に欠けている憾みがある.
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