紫煙考
煙の科学(1)
浅野 牧茂
1
Makishige ASANO
1
1国立公衆衛生院・生理衛生学部
pp.154-156
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216387
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●たばこの煙には種類がある
紫煙考というシリーズであるが,紫煙はたばこの燃焼部分から立ち昇っている煙がそうなのであって,たばこ自体を通過して喫煙者の口腔に達する煙は紫色ではなく白色を呈している.
たばこ煙を科学的に取り扱う場合に,前者を副流煙(sidestream smoke),後者を主流煙(mainstreamsmoke)と呼んで区別する.喫煙の生体影響を考える場合,これまでは単にたばこ煙といえばこの主流煙を意味するものと考えてさしつかえなかった.しかし,喫煙の健康障害が喫煙者自身にとどまらず,とくに閉鎖的空間で非喫煙者が喫煙者と同席せざるを得ない場合に生ずる生体影響が問題にされるようになり,副流煙の存在が注目されるようになった.
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