特集 老人健康診査
老人健康診査の実態—大阪市の場合
大和田 国夫
1
1大阪市立大学医学部衛生学公衆衛生学教室
pp.616-620
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204723
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老人問題については種々論じられているが,基本的には生活保障,住居,保健医療,労働に関する四つの問題にしぼられるといわれている1).その中の一つである老人の保健については,まず老人の特性として,健康状態の追求がなされ,地域社会における老人の実態が調査され,報告されはじめた.老人でなんらかの自覚症を有するものは70%に及ぶとの報告2)や,また都市の一地域に在住する老人が違和感を自覚するものは40.3%であったが,健康診断の結果,有疾患者は78.0%に達したと報じられたり3),さらに自覚的に重大な疾患を有せず,日常生活に支障のないものでも(自覚的健康老人),健康診断の結果,有疾患者は69%に認められ,健康者と考えられるものは,自覚的健康者の3割内外に過ぎないといわれていて4),老人では真の健康者はきわめて少ないというのが大方の考えである.
身体障害などによる,いわゆるねたきり老人は,大都市における調査では70歳以上の老人のうち,8.9%に認められ5),他地域での80歳以上の成績では16.6%におよんでいる6).厚生省の全国調査(昭和38年)7では,65歳以上で5.6%に認められたというから,65歳から70歳までの5年間に増加するのは当然であるが,70歳以後の増加は著しいものと思われる.
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