特集 公衆衛生学の総合科学的深化
経済的なもの・非経済的なもの—公衆衛生学の総合科学的深化
菅原 秀人
1
1北海道大学経済学部
pp.100-103
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204616
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経済学は社会の生産力と相互に作用しあう生産関係の発展の法則性を研究する学問である.人間は生存のために財貨を生産し,分配し,消費するが,この経済過程のうち,もっとも重要なのは分配や消費の前提となる財貨の生産である.財貨の生産にさいして人間は自然にたいして働きかけるが,それは孤立しておこなわれるのではなく,人間は相互に共同し集団(社会)を形成して働きかけるのであって,このいみにおいて生産は社会的生産である.かくて,この社会的生産は,一方において人間が自然にたいして働きかけるところの人間と自然との関係と,他方において自然にたいして人間が働きかけるさいに人間と人間とがとりむすぶ関係という,2つの側面をもっているわけであり,前者は生産力という自然的側面であり,後者は生産関係という社会的側面であって,この両者の相互作用によって生産関係は発展するのであり,またこの生産関係が生産された財貨の分配のしかたを規定することになるのである.生産力という自然的側面を研究対象とするのが自然科学であるのにたいして,経済学は生産関係という社会的側面を研究対象とし,その発展の法則性を究明することを課題とするのである.
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