発言あり
国民総背番号制
T
,
O
,
S
,
H
,
N
,
田中 恒夫
1
,
阪上 裕子
2
,
野見山 一生
3
,
大島 一良
4
,
首藤 友彦
5
1東京大学医学部保健管理学
2国立公衆衛生院衛生行政学部
3群馬大学医学部衛生学
4府中療育センター院
5名古屋南保健所
pp.3-5
発行日 1972年1月15日
Published Date 1972/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204400
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十分な検討を
総背番号制をめぐって,数多くの論議が交わされている.そのかなりの部分は批判的なものであり,ある部分は反体制的なものである.たしかに,情報科学の発達と,情報の洪水の中で,個人の有効なアイデンティフィケーションのためには,コーディングの必要性は十分にみとめられる.よく知られるように,スウェーデンの医療体系が,各個人のコードによってすすめられ,医療情報データ・バンクの活用が特徴となっている.いわゆるプライマリー・ケアーの質がそのために向上したとは,スウエーデン医療関係者が良く説くところである.
しかし,同じようなコーディングで事務がすすめられているクレジット・カード・システムでは,現実にアメリカでしばしば誤りを生じ,少なからぬ加入者の被害となって現われている.おそらく情報科学者は,フィード・バック・システムさえ強化すればよいと,技術的な立場から,この問題をとりのぞこうとするかもしれない.しかし完全であると同時に不完全な人間と,まだまだ完全とはいかない機械の組合わせは,決して彼らのいう通りにはならないだろう.それを除くためには,当分の間膨大な経費を必要とし,安全性の十分な検証までその投資は続くであろう.
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