日本列島
ベトナム向け米軍用化学物質(5%PCP油剤)による上水道汚染—沖縄県
伊波
pp.316
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204475
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1971年5月19日早朝,沖縄本島南部の具志頭村字仲座にあるヨモチ川でウナギが死んでいるのを発見,また5月21日12時半頃,隣村の東風平村と大里村の学校給食センターで水道水からシンナー様の異臭があったという通報を受けた南部地区東部水道組合長(東風平村長兼務)は直ちに給水をストップし,沖縄公害衛生研究所に調査を依頼した.
5月22日環境調査と同上水道の水源および付近の井戸などからサンプルをとり分析したところ.水源からとったサンプルからは6ppmのペンタクロールフェノールを定量した.同上水道は沖縄本島最南部の6町村にわたる2万4千人に給水しており,汚染が早く発見されたのが不幸中の幸いであった.汚染源の調査をしたところ,かねて政府薬務課が問題としていた一商事会社が,南風原村に保管中の米軍から入札によって払い下げられた5%PCP油剤約11500ガロンを,具志頭村字仲座の採石場跡の大穴の中に捨ててあるバガス(砂糖きびのしぼりかす)に流し込んだことが判明した.
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