発言あり
保険医総辞退以後
S
,
H
,
I
,
M
,
Y
pp.709-711
発行日 1971年12月15日
Published Date 1971/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204384
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誰のために
医療費が絶対的にも相対的にも高くなってきたのはわが国だけのことではないようだ.先頃,その医療費の負担制度として全国民をその中に包み込んでいた皆保険制度の破綻が日本医師会員の保険医総辞退という局面を招いた.その時多くの議論があったし,その収拾も異例のテレビ対談に彩られはしたが,どうも国民にとっては難解なまま,保険医療費の値上げ,つまり保険料の値上げで一段落となりそうな気配である.
しかしそれで問題は忘れてしまってもいいくらいに解決するのだろうか.よほどの楽観論者でない限りそうは思うまい.それほどにわが国の医療制度と健康保険制度の持ちこしてきた矛盾は大きく,さらにかつての大学騒動の発端が医学部にあったことを思えば,医者を含めて「医」そのものと変動する社会とのギャップは広く,これをウヤムヤにしておくことは,結局は国民を不幸にすることになるだろう.
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