特集 予防接種の事故
予防接種事故の補償制度
谷 修一
1
1厚生省公衆衛生局防疫課
pp.147-150
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204219
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近年,わが国における伝染病の様相は著しく変ってきており,戦後一時期猛威をふるった赤痢,日本脳炎などもようやくその勢いが衰えをみせはじめてきた.また,それと同時に,従来あまりかえりみられることのなかった伝染性疾患が,非常に広い意味での感染症という概念で,学問的にも,また行政レベルでもとりあげられる気運になってきている.例えば,風疹,流行性肝炎などがその1例としてあげられよう.これらの変化に対応して,感受性対策である予防接種のあり方,考え方も当然変ってくるべきものであり,厚生省では昭和43年5月,厚生大臣の諮問機関である伝染病予防調査会に対し,"今後における伝染病予防対策のあり方"について諮問を行ない,予防接種を含めた伝染病予防全般についての意見を求めた.この調査会の中間答申が昭和45年6月にまとめられ,その内容については新聞などを通じ,すでに報じられている.
中間答申には,予防接種に関することがらとして対象疾病の再検討と義務づけの問題,さらに予防接種による事故に対する救済制度などについて,今後考慮していくことが必要だと述べられているが,この中間答申の発表と軌を一にして,東京都を中心にしたいわゆる種痘問題がもちあがり,予防接種の事故が大きな社会問題になってきた.
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