今月の臨床 周産期医療の崩壊を防ごう
周産期医療の訴訟のリスクにどう対応するか
2.無過失補償制度
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科
pp.264-269
発行日 2007年3月10日
Published Date 2007/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101140
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はじめに
統計によると脳性麻痺(cerebral palsy : CP)は現在500分娩に1の割合で発生している.しかし,その原因が医療提供者,特に産科医師の責任による場合は少ない.出産は元来決して安全なものではなく,リスクを伴うものである.しかし,医療水準の進歩がそれらのリスクを軽減してきた.そのことが患者の期待水準を高めてしまったため,結果が悪かったとき,患者はその責任を医師に帰そうとする.日本の現行の制度では,患者や家族が補償を受けるためには,医療提供者を提訴し,裁判に勝たなければならない.被告にされた医師の精神的な苦痛と負担は耐えがたいものである.また,患者の側からみても,訴訟に勝たなければまったく補償が受けられないという厳酷なものである.
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