特集をふりかえる
保健婦の役割をもっと具体的に—特集「老人保健」を読んで
木下 安子
pp.730
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204177
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本誌9月号の"老人保健"特集を読んだ.山下章氏の「老人問題のなかの保健」を主張として,すでに故人になられた佐藤徳郎氏が平易な文章でしかも具体的に問題を指摘している「日本の生活と老人の健康問題」がつづき,小山路男氏の「老人医療と健康管理」が医療保険のサイドから老人医療確立への問題提起であり,さらに村井隆重氏の「老人の自殺と事故」,吉田寿三郎氏の「先進諸国の老人対答の教訓」,深瀬須加子氏の「老人保健—事例と感想」など老人の健康をめぐる現在の諸問題が網羅されている.資料として国立公衆衛生院専攻課程14氏により共同研究「老人のケアーに関する事例調査」を含め,公衆衛生活動における老人問題の方向が示されているといえよう.そして今やこの問題が公衆衛生活動の重要な柱として具体的な回答がせまられていることも理解できる.活動の手びきとしては,磯典理氏の「在宅老人の諸問題」は大阪市城東保健所における都市老人の実態把握,老人管理システムの確立にはじまり,そこから保健所付属老人保健福祉センターが生れ,さらに発展して老人福祉センターへとユニークな活動報告で有益なものであろう.
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