学会印象記 第27回日本公衆衛生学会
真実の追求の場としての学会を
川森 正夫
1
1群馬大・公衆衛生
pp.108-111
発行日 1970年2月15日
Published Date 1970/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204030
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総会の意義を生かす運営を
赤木会長が"あいさつ"にのべているように,衛生行政から公害にわたる500題に近い一般演題と特別講演,総会シンポジウム各1題,分科会シンポジウム6題に7つの自由集会を加えて,岡山市内6会場にわかれて繰り拡げられたのであるから盛会というべきであろうか.
本学会総会でおこった改革議案やある演題発表の過程でなされた破格な運営過程が,一ぱんを露呈していたように,演題数や規模からだけでなく,内容や運営を含めてより深い分析評価に基づく方向づけが,されなければならない時期にきているのではあるまいか.また,この学会の演題の多くが日常業務の報告にすぎないとして,アカデミズムの立場から軽視する見方もあるが,大衆の生活に密接した所で任務分担のちがう各パートの働き手が一堂に会し,研究と行政を総合的に論ずる学会は他に類のない特色あるものであり,その意義を生かす運営が,もっともっと考えられるべきであろう.すでに見られるように大学も第一線の保健機関も一ぱい問題をかかえており,これらへの解決の糸口がつかめなければ個人の技術や努力のみで歴史の要求する"よい研究"は,ますます行なわれにくくなっている.
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