特集 第10回社会医学研究会
自由集会(世話人まとめ)
今日の栄養問題
藤森 弘
pp.688
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203992
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自由集会"今日の栄養問題"には,出席者30名.保健所(医師,栄養士,保健婦,技術職員),養護教員,病院・診療所(医師,栄養士,職員),大学・研究所など,さまざまな分野で実際に"栄養指導"に当たっている人々が多かったため,指導という立場で栄養ということをどのように考え,扱うかという点をめぐって問題提起され,討議されることが多かった.基本的には,"栄養問題"は,社会医学の課題としてとりあげるなら,食生活問題としてとらえるべきだという点で,出席者は一致していた.つぎにそのいくつかを要約する.
"栄養基準":指導という立場に立てば,どうしても必要であるにもかかわらず,基準値をどのように決めるかはまことにむつかしいうえに,その運用はそれ以上にむつかしい.集団を対象とした場合と個々人を対象とした場合とではちがうだろう.歴史的に見て,"栄養基準"はつねに生理的最低必要量にすりかえられようとしてきたことをたえず想起すべきだろう.もし"栄養基準"を求めるならば,日本の風土・歴史が育ててきた食べもの,食生活の型などに深く留意すべきだろう.
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