抄録
公衆衛生従事者の養成訓練—(Health Manpower)
西川 滇八
1
1日大・公衆衛生
pp.447
発行日 1968年11月15日
Published Date 1968/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203767
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わが国でも,公衆衛生従事者の養成訓練や身分待遇などについて論議がかさねられているが,太平洋を隔てた大陸でも同様の問題をかかえて,その不足を補う方策や養成方法について研究が行なわれているので紹介してみましょう。
カルホルニア州アラメダ区衛生部家庭保健援護係長W. Hoff博士は,45歳以上の中高年層を再訓練して,家庭保健援護員(home health aides)の不足を補う方法を試みている,という発表をした。前半世を不運と失敗の連続によって,教育も受けられず,定職も失い,貧しい生活で生きてきた人たちの中から,特にこの仕事を通して熱心に再起を図ろうという意志をもつ人を選んで,11週間の養成訓練課程を受けさせた。このコースは,最初は教室内でデモンストレーションやディスカッションを行ない,ついでナーシングホームの社会復帰部の患者に対して,個人的な看護について修練し,最後には,個人家庭におもむいて保健援護(health aides)を実習させるように組まれている。ずでにこのコースは2回終っているが,100人の入学者で,卒業したのは83人であった。そしてこれらの卒業生の大部分が,今でも保健援護員として活躍しているということである。ホームヘルパーの少ないわが国でも,人脈の再開発に試みてよい方法のように思われる。
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