研究
東京都の20年計画における医療・保健面での提案
岩佐 潔
1
1病院管理研究所医療管理部
pp.371-376
発行日 1968年9月15日
Published Date 1968/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203739
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はじめに
都市への人口集中は医療・保健の面で多くの重大な問題を生んでいるが,これは現に急激に進行中の現象であるので,将来の課題に答えるだけでなく,現在の問題を解決するためにも都市の将来計画を科学的,合理的に樹立することが大切である。したがって,地域および都市に関する多くの将来ビジョンが研究され発表されているのは,時宜に適した努力といわねばならない。
さきごろ名古屋の第17回日本医学会総会に続いて開催された衛生関係6分科会連合学会のシンポジウムでも,"健康からみた都市計画の問題"が取上げられた。私は昭和37年,38年に"岡山県南広域都市の生活環境の造成に関する研究"(主任研究者斎藤潔氏)において原島進,大平昌彦両教授などとその医療・保健計画について研究1)したことがあるが,今回は"東京人の生活の長期展望に関する研究"2)のうち医療・保健の部分を担当したのでその概要を本誌に発表する。本研究は東京都を対象としたものであるが,都はわが国の人口の1割を擁し日本の中心であるから,都の問題は日本全体の問題でもある。将来計画はたんなる夢ではなく現状を踏まえ諸条件を加味した科学的根拠にたったものでなければならない。その意味から将来計画は本来あらゆる知識を動員した総合的なものでなければ役立たないであろう。本稿はもちろんそうした整った形のものではないが,それゆえにこそ諸先生の大方の批判を受けたいと思う。
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