特集 地域保健と職業衛生
その実態と対策
中小企業の健康管理の問題点—神奈川保健所管内,神の木町の調査から
鈴木 聰男
1
,
朝比 志郎
1
1東京医歯大医学部衛生学教室
pp.719-723
発行日 1967年12月15日
Published Date 1967/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203594
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はじめに
中小企業における健康管理の実態,問題点さらに対策などについて知り,とくに保健所がその管内の中小企業の健康管理を行ないうるかどうかについての資料を得るために,典型的な中小企業の町であるこの地区を選び,横浜市神奈川保健所の協力のもとに調査を行なった。調査地区は神奈川県東北部に位置し,国鉄横浜線と京浜第二国道にはさまれた地帯で,調査を行なった昭和41年12月現在,この地区には事業所が全部で23あり,そこに働く従業員総数は428人であった。ここの全事業主と,それに従業員の約60%にあたる244人に対して,あらかじめ作製しておいた調査項目による1対1の面接調査を行なった。調査項目は,はじめに述べたように,実態,問題点,意見,要望などについて,なるべく広い範囲にわたって知り,そこからなんらかの対策が考えられるよう作製した。
この地区の中小企業は,昭和初期ごろから臨海地帯に発展した大企業の下請工場として,この地区一帯にわたって設立されてきたものである。調査当時のこの地区に対する保健所の活動は,地区住民を対象としたもので,地区内の事業所に対しては,とくにこれといった活動はなされていない。また各事業所の共同出資の形で工業会なるものが地区に設置されている。
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