特別寄稿
町立八丈病院建設の理由とその運営その2
乗木 秀夫
1
1日本医科大学衛生学教室
pp.606-609
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203553
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
町組織の一環としてめ町立病院に対する町当局の処遇
さてへき地,離島の特殊事情を生かしながら,それに対処する私自身の考え方のもとで,この病院の計画は進んでいった。それが,私にとって幸いであったかどうかはわからない。その理由として,町立病院は町の企業体の一つであり,病院のもつ特殊的立場が認められる分野が非常に少ないことである。そして疾病という不安定な目標に対して,最高の取扱いをしなければならない病院の要素を,どの点で了解を求めるかは,他の企業体の計画とはまったく異なった問題だったのである。たしかに,町自体の医療構想のなかでの病院の構想からみると,私の提示したものは,あまりにもかけ離れていたことは事実である。
すなわち,町当局は不安定な医師駐在の確保さえできればよいのであって,その医師に対する批判は,町当局の知るところではないという態度は,現在の日本行政の縮図でもある。私の,島の医療問題を基本としての計画が,この立場の町当局に受入れられたかは,私自身はっきりしている。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.