特集 公衆衛生の基本法をめぐって
主題
公衆衛生の将来像
イギリスの公衆衛生法とその沿革
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.15-20
発行日 1967年1月15日
Published Date 1967/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203396
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イギリスEngland & Walesは,18世紀中葉以降,世界に先がけて産業革命を経験し,これが契機となって近代公衆衛生活動の先駆をなした国である。この公衆衛生活動の発足の道標となったのが,よく知られているようにPublic Health Act,1848.(以下P. H. A. と略称)であるが,世界最初の公衆衛生の総合立法といわれるこの法律は,その後たびたび改正され,とくに1875年および1936年には根本的な大改正によって,社会の進歩と時代の要請に適応する内容のものとなり今日に至っている。すなわち,イギリスは第2次大戦の悲惨な経験を経て,その画期的な社会保障制度の主要な一環としてNational Health Serviceの制度を樹立し,その後約20年,激しい内外の変動の中で多くの困難と闘いながら今日に及んでいるが,この間120年に亘ってイギリスの公衆衛生行政を支えてきた主要な法的な支柱のひとつがP. H. A. であり,本法は今日においてもNational Health Service Act,1946(以下N. H. S. A. と略称)とともに,イギリスの保健計画推進の重要な法的支柱となっているのである。
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