研究
血圧と職場環境—段階上昇による血圧値の差について
塚本 勉
1
1警視庁警務部健康管理室
pp.526-529
発行日 1966年9月15日
Published Date 1966/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203345
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まえがき
日本における脳卒中死亡は,依然として国民死亡の第1位を占め,各事業場においては血圧測定はますます盛んに行なわれている。血圧測定場としては,階段を上昇しないで受検できることから一階が望ましい。しかし,都会においては建築の高層化の傾向がますます増えたため,2階,3階で血圧を測定する場合が,今後はしばしば起こると思われる。2階あるいは3階に徒歩で昇ればどうしても,ある程度の負荷がかかることになり,1階で行なう場合とでは血圧値に差異が生ずることが推定される。この点について,これまで人工的に運動負荷を加えた場合の血圧の変動についてみた成績1)2)はあるが,私はとくに日常の集団検診の場で,2階あるいは3階に上昇後血圧を測定した場合と階段上昇のない場合との間にどのような差異があるかを検討した。したがって,今回は同一人を1階での測定,2階上昇後の測定,3階上昇後の測定というような比較でなく,多数例について,1階で測定した群,2階上昇後測定した群,3階上昇後測定した群の3群に分けて,血圧値に差があるかどうかについて検討した。
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