症例ライブラリー —こんなことがないように—クスリのリスク
エフェドリン投与後の急な血圧上昇
祖父江 和哉
1
Kazuya SOBUE
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野
キーワード:
誤薬
,
異常高血圧
,
GS1バーコード
,
シリンジラベル
Keyword:
誤薬
,
異常高血圧
,
GS1バーコード
,
シリンジラベル
pp.230-233
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320030230
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■症例
75歳の男性。身長169cm,体重80kg,BMI 28kg/m2。前立腺癌に対してロボット支援下前立腺全摘術が予定された。既往に高血圧があり,カルシウム拮抗薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を内服していた。入院前の自宅での血圧は152/94mmHgであった。術前心電図に問題はなかった。また,7か月前に脳梗塞を発症したが,現在後遺症はない。
入室時の血圧と心拍数は,182/98mmHg,90bpmであった。全身麻酔の導入はプロポフォール100mg,レミフェンタニル0.5μg/kg/min,ロクロニウム40mgで行った。導入後に血圧が低下傾向であったため,麻酔はデスフルラン3%,レミフェンタニル0.1μg/kg/minで維持した。執刀直前のBIS値28,血圧86/58mmHg(平均血圧67mmHg),心拍数55bpmであったため,エフェドリンを投与しようと薬剤カートからアンプルを取り出し,40mgを生理食塩液9mLで希釈し,シリンジに手書きで「エフェドリン」と記載した。4mg(1mL)を静注した2分後に手術が開始された。投与4分後,収縮期血圧202mmHg,心拍数110bpmとなった。経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は99%〔吸入酸素濃度(FIO2)50%〕,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)36mmHg,体温36.5℃であった。
さて,あなたならどうする?

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