特集 母子保健
活動
母子の健康をいかに護るか
人づくり政策の一環として—国立小児病院における活動
尾村 偉久
1
1国立小児病院
pp.76-79
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203191
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まえがき
去る昭和40年11月,東京都世田谷区太子堂の台地旧国立世田谷病院の敷地跡に,国立小児病院のビル建築が完成発足した。これは,下は未熟児から上は中学生までのわが国としては始めての小児専門総合病院である。このような小児総合病院は,わが国でこそ始めてであるが,欧米諸国では百余年前から設置され,発達してきていて,例えば人口550万のスイスでさえ3病院あり,アメリカでは州ごと,あるいは大都市にも多数設置されている。これは近代医療において,小児の各種疾患の診療のためには小児専門の総合病院が必要であり,最適であることを示しているものであろう。もちろんわが国でも小児医療の関係者からは小児専門総合病院の必要性は近年強く唱えられてきていたが,諸種の理由から実現するに至らず,成人に刻する総合病院は数百以上に達しているのにわずかに小児の内科疾患を対象とする小児科病院または病棟,あるいは乳児院,小児養護施設もしくは心身障害児の単科収容施設の設置にとどまり,ごく最近に至って数十の一般総合病院の中に小児混合病棟が普及してきたに過ぎない状態であった。
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