人とことば
水と原始林のあいだに
アルバート・シュバイツァー
pp.57
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203185
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われわれとわれわれの文化は,大きな罪の重荷を負うている。アフリカの人間たちに善事をするかしないかは,全くわれわれの自由にまかされてはいない。われわれはそれをせねばならぬのである。われわれが彼らになす善事は慈善ではなくて罪のあがないである。苦悩をひろげた者一人について一人が,代わりに出かけて行って,援助をもたらさなければならない。そして,われわれが力の及ぶかぎりのことをしてしまったとしても,まだわれわれは,罪の千分の一もあがなったことにはならないのだ。以上のことが,アフリカでのあらゆる愛の事業を考慮する際に,拠らねばならぬ基礎である。
自由意志で有色人種のところへ出かけて行って,世間から忘れられた任地で,危険な風土のなかでの苦しい生活や,故郷と文明から隔離されていることから生ずるあらゆる困苦を身に引き受ける医師たちが必要なのだ。こういう医師たちに向かって,わたしは経験から言うことができる。あなたがたは放棄したすべてのことに対して,あなたがたのなしうる善事のなかに,豊かな報酬を見いだすことができるだろう,と。
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