特集 変貌する農村の社会医学的研究—第6回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅲ
追加報告
1.農村における疾病構造と医療の破壊—秋田県一農村の社会医学的分析の試み
中谷 敏太郎
1
1秋田市中通病院
pp.655-656
発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203147
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はじめに
農民の疾病の状態と,健康と医療を破壊する諸要因について,一医療機関の立場から,社会医学的な調査分析を試みたので報告する。
われわれの病院は創立以来10年間に,数百回にわたる農村部での検診活動と,毎年1回東北大医学部社会衛生部を中心とした学生と協力して夏期農村調査を実施してきた。昭和39年は8月に秋田県八郎潟沿岸の昭和町の4部村,344世帯,2538名を対象として夏期調査を実施した。今回の調査で目的としたのは,1)農民の持っている疾患を出来るだけ正確に診断する。2)同時に行なう経済調査(戸別訪問による悉皆調査)や医療受診との相関を求める。3)医療受診が生活に及ほす影響を見る。4)要加療と診断されたものの医療放棄の実態と原因を求める。5)調査活動によって得たつながりをもとにして,健康と生活を守る自主的な組織と意識の発展を求める,の諸点である。
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