特集 世界のなかの綜合保健
海外事情
アメリカの綜合保健—その考え方と実情
岩佐 潔
1
1病院管理研究所診療管理部
pp.75-78
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202990
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はじめに
comprehensive medical careとかcomprehensive medicineとか,あるいはcomprehensive health careといった種類の言葉をアメリカでも時おり見たり聞いたりします。これらは日本語の綜合保健に近い言葉であると思われますが,なにも特定な目新しい体系的な概念ではなく,これまで見落とされていた何らかの要素を加味した"より綜合的な"と言った程度の漠然とした意味で使用者によってさまざまな内容をもって使用されています。
わが国でいう綜合保健の概念は,医療および保健サービスを統一的制度として行政的に与えようとする供給者の立場,もちろんそれは裏返せば受ける側の立場ということになりますが,そうした立場から制度的問題としてまず必要になるのではないでしょうか。この意味からは,揺藍から墓場までという社会保障の理想をかかげて,国営医療(National Health Service)を実施しているイギリスにおいてこそ方法論的に大問題となっていますがアメリカのように医療および保健の問題は本来個人の責任だという立場をとるところでは,あまり表だって論ぜられないのかもしれません。
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