特集 綜合保健活動と保健従事者
環境衛生分野の技術者
庄司 光
1
1京都大学工学部
pp.466-470
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203090
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■環境衛生分野の技術者の需要
わが国における環境衛生の本格的な発足は清掃法(1954),水道法(1957),下水道法(1958),水道保全法(1959),などの法律の制定の時期であり,ややおくれてばい煙規制法(1962)の制定をみた。質的には環境衛生はEngland and Walesにくらべて約1世紀のおくれがある1)。第2次大戦後,都市化,工業化の進展,人口都市集中に伴って上下水道,汚物処理,公害対策に対するsocial needsが急激に増大し,生活環境施設のための公共投資が行われるようになったが,これを担当する技術者の問題は抜本的な対策が未だに講じられていない。
Smilli, W. G. は環境衛生の機能として,(1)安全で適当な給水,(2)し尿の適当な処分,(3)安全で適当な食糧の供給,(4)じん芥および廃物の処理,(5)環境の清潔,(6)住宅および都市計画,(7)事故に対する人命救護対策,(8)疾病伝播の媒介源の取締をあげている2)。環境衛生分野の技術者の職場は官庁,地方自治体企業などこに広く分布しているが,衛生行政の分野を例にとって業務内容を検討してみる。環境衛生関係職員の業務,とくに衛生監視活動の範囲には,清掃(汚物処理)の企画,監視,指導,上水道および飲料水の監視,公害防止などの機能が含まれるが環境衛生あるいは衛生工学の高度の知識と技術が要求される。衛生工学は環境衛生の中核でおるといっても過言ではない。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.