特集 伝染病予防
伝染病対策に望む
過渡的伝染病院からの脱皮
斎藤 誠
1
1都立荏原病院伝染科
pp.416-417
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203077
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伝染病対策のなかで,むしろ受身の形で協力している伝染病院の医師の立場から,将来の伝染病院の在り方を含み,伝染病対策に対する希望を触れてみたい。
伝染病の実態の把握一般に伝染病は逐年,軽症化の傾向が強く,その実証的な反映は届出教の減少,致命率の低下の形で表現されている。例を赤痢に求めると,赤痢菌感染を基盤とし致命率の高い疫痢は,現在ではむしろまれな疾患となりつつあり,赤痢症状発呈例でも軽症化と抗生剤の普及は,その予後を著しく好転させている。菌型の上からみても,少なくとも都市にあっては昭和27年頃よりフレキシネル菌の減少,ソンネ菌の異常な増加という現象と同時に,抗生剤の普及は今日の入院患者の約50%がクロラムフェニコール,テトラサイクリン等の抗生剤に耐性という現況になりつつある。
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